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免疫機能は“高める”ではなく、“調整”が大事だった!

免疫機能は“高める”ではなく、“調整”が大事だった!

Summary
●免疫は身体を守るためにある
●バランスを整える意識が必要
●“引く発想”で免疫を整えていく


寒い冬や季節の変わり目は、特に体調管理への意識が高まる時期です。いつも以上に、「免疫力を高めよう!」と、日々の生活の中で気を付けているのではないでしょうか。

正高先生は、「免疫をコントロールする、整える意識が重要です」と話します。その理由を教えていただきました。

正高佑志先生
1985年京都府生まれ。熊本大学医学部医学科卒。『一般社団法人GREEN ZONE JAPAN』代表理事として、大麻草の安全性や有用性に関する啓発活動に従事している。CBDの健康力に関する追跡調査と学術報告を行い、大麻取締法改正への道筋をつけることに貢献した。著書に『お医者さんがする大麻とCBDの話』(彩図社)、『CBDの教科書』(ビオマガジン)がある。

免疫は身体を守るためにある

-「免疫力は高いほうがいい」ということは広く知られていますが、そもそも免疫とはなんですか?

一般的に言われている免疫力とは、免疫システムのことで、体内に侵入してきたウイルス、細胞などの病原体や有害物質から身体を守るために機能する、防御メカニズムのことです。自分自身の細胞や組織と、外部から侵入してきた異物を区別してそれを排除しています。さらには、一度接触したことがある病原体を記憶して、再び感染した際に迅速に反応する役割もあります。

よく免疫力という言葉が使われますが、厳密には医療用語ではありません。また、免疫を数値化することができないため、高い・低い、強い・弱いという判断ではなく、一連の動きとして正常に機能していることが重要になります。

今では想像しづらいですが、人類の歴史の大半は飢餓と感染と戦いでした。飢餓から守るために血糖値を上げる数々のホルモン、怪我に際しては速やかに出血を止めるための止血システム、傷口から菌に感染しないための免疫システムはいずれも人類の生存や進化の過程で有利に働いたと考えられます。ですが、現代では飢餓の心配はほとんどありませんよね。感染においても、基礎疾患を有する方や高齢者の場合はしっかりと対応する必要はありますが、抗生剤やワクチンが開発されるなどの医療の発展もあり、健康な状態であれば感染症が深刻化するケースは少なくなっていると言えます。そういうことを踏まえると、現代人は感染症よりも自己免疫疾患のほうが深刻化していると思います。


-自己免疫疾患とは、アトピーやアレルギーのことですか?

はい。最も身近なものは花粉症ですね。関節リウマチや1型糖尿病なども自己免疫疾患になります。自分自身の細胞や組織、危険性のない異物を外敵と認識してしまい、過剰な免疫反応が引き起こされて身体にダメージが生じる状態です。その原因は完全に解明されていませんが、遺伝的要因、生活習慣やストレスなどの環境要因などが複雑に関連していると考えられています。

バランスを整える意識が必要

-自己免疫疾患はある意味、免疫システムが誤認しているということだと思うのですが、正常に戻すには何が必要ですか?

いわゆる免疫力を高める意識は間違いではありませんが、厳密には、コントロールしながら整えることを心掛けるのがよいのではないかと。

人間の身体には、内外部からの環境因子による変化に対して、生理機能が一定に保たれる恒常性(ホメオスタシス)が備わっています。例えば、人間の体温は寒い冬の朝でも、灼熱の炎天下でも自動で36度前後に維持されています。これがホメオスタシスです。免疫システムの運用も同じく、全自動で制御され、例えば、過度なストレスなどによって自動調節機能のコントロールが乱れることで、免疫システムが正常に機能しない状態に陥るというイメージを私は持っています。生まれつき戦いたがりな免疫細胞の暴走を制御しきれなくなるというか。

-具体的な対策法を教えてください!

やはり、規則正しい生活習慣がベースになります。そのうえで、健康対策の一環としてCBDを摂取するのもいいと思います。CBDの体内での仕組みは非常に複雑ですが、人間の体内に存在する大麻成分と似た神経伝達物質、エンドカンナビノイドと呼ばれますが、それらの働きに関与していることが知られています。エンドカンナビノイドは実は恒常性を保つための化合物なので、CBDの定期的な摂取は人間の心身のバランスを健やかにサポートすると考えられています。

また、特にコロナ禍以降、手洗いや消毒をする機会が増えていると思いますが、キレイにしすぎない、洗いすぎないことも大切ではないかと思います。私たちは常在菌とともに暮らしているので、無菌状態を作ることはできませんし、洗いすぎてしまうと必要な菌まで流してしまい、逆に正常な細菌バランスを損なうことにつながります。

“引く発想”で免疫を整えていく

-なかなか洗いすぎているという感覚にはなりにくいように思うのですが、何を意識するのがいいでしょうか?自分にとってのいい状態、免疫を調整する意識につながるという意味でも。

生活習慣や生活環境はひとりひとり異なり、必要な事柄も人それぞれだと考えると、自分の身体に耳を澄ませること、自分の身体に確認することが大切です。

例えば、毎日髪を洗うのが当たり前になっていると思いますが、本当に毎日洗う必要はありますか?「毎日洗うものだから」と習慣化しているだけで、髪の状態を見て判断しているわけではないと思います。皮脂や汗などでベタっとしていたら洗う、そうではない日は洗わないという選択をしても清潔さは保てます。それは、運動習慣にも言えることです。ランニングや筋トレ、最近ではサウナも流行っていますが、適度に行うから健康につながります。

また、熱が出ることはよくない印象があると思います。熱が出ている時は免疫細胞が活性化してウイルスと戦っている状態であり、同時にその他の動作を強制的にシャットダウンさせているとも言えます。熱が出るとしんどいので、解熱剤を飲むことは問題ありませんが、きちんと休むことが前提です。なかには解熱剤を飲んで仕事をする人がいますが、熱は身体からのサインなので、その間は休んで調子を整えるほうに意識を向けてください。

免疫を整えようと考えると、何かをプラスしがちですが、「今必要なのはなにか」「負担になっていることはないか」など身体に確認しながら、どちらかというと「しないこと」を意識するといいと思います。