心地いい暮らしを送るスペシャリストたち Vol.32 美容家 Caoruさん
心地いい暮らしを送るスペシャリストたち 2025.11.07
日本のみならず、パリやミラノなどの海外の美容、エステ事情に精通する美容家のCaoruさんが『心地いい暮らしを送るスペシャリスト』に登場!
仕事柄多くの方と会い、癒しを与えているCaoruさん自身が、仕事をするうえで、さらには普段から心地よく過ごすために心掛けていることをお伺いしました。
正しく、適切に伝えていきたい

―Caoruさんのお仕事について教えてください。
私は美容家として活動しています。一概に美容家といっても、さまざまな活動がありますが、私はエステティックサロンで10年間働いた知識や技術がベースにありますので、技術者、セラピストとしてフェイシャルやボディ、ヘッドなど、トータルビューティの技術講師をしています。日本のトレーナーとして、ヨーロッパを中心に日本の技術を教えて、逆に日本には入っていない技術を持ってくることもあります。
加えて、化粧品の開発や監修、ホテルのスパでのメニュー開発なども行っていますし、私自身もスクールを展開しています。スキンケアについても指導しますので、化粧品学、皮膚理論、解剖生理学に基づいて、イベントでお話しすることもあります。
―幅広くご活躍ですが、Caoruさんの軸になっている理念、信念はなんですか?
正しい知識、適切なアイテムの選び方、適切なケア方法を伝えていきたいと考えています。
私はエステ、美容業界人や美容関連の企業との仕事が多いのですが、とあるスキンケアアプリの開発に監修者として参画したことが一般のお客様に向けた仕事をするきっかけになりました。そのアプリはアルゴリズムで肌質のパターンを導き出すサービスが搭載されていて、開発の際にユーザーインタビューを実施し、私も同席させていただきました。その時にショッキングだったのが、「普段、どこで化粧品を買いますか?」というお話の中で「百貨店や専門店は敷居が高く、聞きづらいので行けない」「自分の肌がわからないから、どんな化粧品を使えばいいのかがわからない」という、このふたつの意見がとても多かったことです。
私は、BAさんにも研修を行うので、その時にお客様の肌についてのアドバイス、適切な化粧品の選び方、適切なトリートメントなどをお伝えしてきました。だけど、聞きづらい、自分の肌のことがわからないと思っている方が多い実情を目の当たりにして、「お客様はこういうことを求めていますよ」ということを企業やBAさんに教えていく必要があると感じました。
また、コロナ禍の2021年に『スキンケアは洗顔が9割』という本を出版したのですが、正しい洗顔の方法を伝えたいと思い制作しました。洗顔を知らない人も、洗顔をしていない人もいないと思います。だけど、正しい方法を知らない人は多いと思ったので、皮膚理論的、肌質、化粧品の機材別など、多角的な知識・情報をもとに正しくお伝えしようと考えました。
ヘアケアで例えるとシャンプーがクレンジングになります。シャンプーでしっかりと毛穴の汚れや皮脂が取れていないと、べたつきやニオイ、抜け毛の原因になります。それは顔も同じ。クレンジングでしっかりとメイクや汚れ、余分な皮脂を取れていないと、どんなに高い化粧品を使って保湿をしても効果はありません。

―Caoruさんがお話しする通り、ほとんどの人がクレンジング・洗顔をしていると思いますが、それでも汚れは落とせていないですか?
適正なやり方で洗顔をしていないので汚れています。汚れ残しもありますし、適正なクレンジングアイテムを選んでいないので、必要なものを取りすぎている場合も多いです。さらには、クレンジングの時点で足りないものを与えることも大事になります。汚れやメイクを落とす以外に、水分と油分のバランスをクレンジングの時点で整えないと、どんなに後から化粧水やクリームを塗っても砂漠に水を与えている状態になってしまいます。
私は美容の仕事を35年間続けていますが、やっぱりクレンジングがベース。そのことを企業やBAさんだけではなく、一般の皆さんにもしっかりお伝えしたいと思って本にしました。すると今度は、本の中でおすすめのクレンジングアイテムも掲載していたのですが、「何を使ったらいいですか?」という質問が多く届きました。
―それは、Caoruさんがおすすめした製品の中から選ぶことができないということですか?
本を読んで洗顔が重要なことはわかったけど、今まで試供品を使っていた、何も考えていなかった、あまりお金をかけたくないという人もいます。いろんな事情があることを踏まえて、これを使っていれば間違いないというものがあったほうがいいと考えました。その結果、誕生したのが『MY GOOD SKIN』です。アイテムとメソッドを合わせてお伝えしていくほうがわかりやすいかもしれないと。
プロフェッショナル、一般の方にお伝えてしていく過程でいくつもの気づきがあって、今もやり続けている感じです。
―お話を伺っていると、正しさ、適切という言葉をよく使っていらっしゃる印象があります。自分にフィットするものを選ぶことも正しさだと思うのですが、どのようにお伝えしていますか?
日本は四季があるので、春夏秋冬によって肌質が変わります。なので、季節によって受ける影響を肌で見て確認することは大事です。季節によってクレンジングを変えるほうがいいかもしれないし、クレンジングは同じでもいいけど、他のアイテムを変えたほうがいい場合もあります。その変化がわかるようになると、今の肌に必要なアイテムを選択できるようになっていきます。
そして、興味が出てきた時にスキンケアにまつわるワークショップに参加してみたり、BAさんに相談してみたり、行動することで自分の肌を知ることにつながります。
―仕事柄、大勢とコミュニケーションを取ると思いますし、技術などを伝えることはハードワークだとも思います。心地よく働くために心掛けていることはありますか?
私は、ミニチュアダックスフンドの愛犬がいるのですが、犬と散歩するようになって、キンモクセイの香りを感じたり、セミの鳴き声を聞いたり、季節の変化がよりわかりようになり、いい気分転換になっています。よく犬“の”散歩と言いますが、私は犬“と”散歩だと思っています。1日1万歩を心掛けているという意味でも、犬との散歩が大切です。
どうしても忙しい時は、家に帰っても作業をすることがあるのですが、そうすると愛犬が携帯を触るのをやめさせようとしてきます。そういう時にハッとして、愛犬の合図でオンとオフを切り替えられています。
私は仕事が大好きで、天職だとも思っていますが、愛犬の存在でより楽しく仕事に向き合えています、愛犬との時間以外のプライベートも楽しくなっています。 実は、CBDプロダクトは私だけではなく、愛犬のためにも取り入れています。
エネルギーを感じるアイテムが好き

―どんな風に取り入れていますか?
私自身は『ボタニカルCBDフレグランス バランス』と『ボタニカルフレグランスバームUNWIND』、『CBDバーム チルミント』を取り入れることが多いです。
『ボタニカルCBDフレグランス バランス』は、講義やイベントで話す時、出張も多いので移動の時など、プッシュアアップしたい時に取り入れています。アスリートが試合前に音楽を聴いて気持ちを整えることがあると思うのですが、私の場合はこのロールオンです。
―同じバームアイテムである、CBD入りの『チルミント』と、より香りを楽しめる『UNWIND』はどのような使い分けをしていますか?
人前に出る時はアドレナリンがすごく出ることもあるので、クールダウンしたい時、副交感神経を優位にしたい時は『UNWIND』を、凝っていると感じて緩めたい時は『チルミント』をレスキュー的に使っています。フェイシャルのセッションをすることもあるので、そういう時にも取り入れています。
―愛犬のための取り入れ方も気になります!
那奈さん(エリクシノールディレクター)に教えてもらって、動物病院で購入しました。季節の変わりは腎機能の低下などがあるので、ぐっすり寝てほしい、リラックスしてほしい時に水に数滴入れています。愛犬も違和感なく飲んでいます。

―アイテムを選ぶ時に大事にしていることはありますか?
私はエネルギーを感じるものが好きです。例えば、カッサはフィンランドで生み出された天然石のソープストーン製を愛用しています。バスタイムで使うことが多いので、湯船に入れてホットストーンのように温めてから、頭皮や顔のマッサージをしています。頭皮マッサージは香りが豊かなスクラブを塗布してから行うこともあります。
身体の中に取り入れるものも、のどの労わりアイテムにはジャラハニーの生ハチミツのど飴、リラックスしたい時はオーガニックのルイボスティー、身体に触れる寝具は麻素材を使用していて、素材にはこだわっています。エネルギーはその素材から感じているように思います。
―物理的にお忙しいと思うのですが、時間の使い方で工夫していることはありますか?
短縮できること、ながらでできることも大事にしています。先ほど、湯船に入れてカッサを温めるお話をしましたが、「カッサを温める」と聞くとめんどうに思いがちですが、湯船に入れているだけです。
食事の準備も、休みの時に多めに作ってストック、お米を炊く時は炊飯器ではなく鍋を使う、旬の食材をいただくなど、ちょっとしたことを積み重ねている感じです。会食などで外食が続いたら、バランスが崩れているのを感じるので、そういう時は可能なかぎり自炊しますし、作れない場合はストックを活用しています。
選択肢があるとストレスは減ると思う

―ひとつひとつは特別なことではないけど、そういう小さなことの積み重ねがCaoruさんの心地よさにつながっているのだと感じました。小さいことの積み重ねは言い方を変えると、続けられることですよね。
そう思います。例えば、月に1回のプロによりフェイシャルトリートメントを受けても、残りの日はご自宅でのケアになります。だからこそ、その方がご自宅で続けられるスキンケアの方法をお伝えすることは、仕事をするうえで大事にしています。
選択肢があるとストレスが軽減して心地よさにつながっていくと思うので、私も含め美容のプロフェショナルとして選択肢を提供できる場をたくさん作っていくことも重要です。CBD製品も、ロールオンやバーム、飲むタイプなど、いろいろあるからこそ、その時の自分に合ったものが選ぶことができますよね。選択肢があることは、これからもっと大事になってくると感じています。
―Caoruさんはこれまでにさまざまなことをやってきていますが、これから先はどこを目指していきますか?
大きくふたつあります。ひとつめは、これまでと同じように、日本国内だけではなく、世界各国で、私のメソッドを届けていきたいです。さまざまなメソッドがありますが、例えば、私がヘッドマッサージを教えている理由は、頭が痛い時に頭痛薬を飲まないでほしいと思っているからです。薬を飲むことによるリスクを心配しているので、頭にもっと栄養と酸素を供給できるように理論的にアプローチしていきます。世界中のサロンやスパにそういうメニューを増やしていきたいので、これからも地道に続けています。
もうひとつは、叶うかどうかわからないですが、アロマテラピーやヨガなどの専門医・専門家がいる施設を作っていきたいと考えています。医療機関に、そういう選択肢ができるといいですよね。
私は美容業界に身を置いていますが、美容は健康がないと成り立ちません。だからこそ、私が持っているものは健康分野においても貢献できると考えています。世の中の健康に少しでも貢献したいと、真剣に考えて動いています。私ひとりでできることではないですし、さまざまな課題があることも理解していますが、さまざまな分野の方と協力し合いながら、できることから地道にコツコツと続けていく先に辿り着きたいです。
PROFILE
Caoruさん
大手エステティックサロンにて、エステティシャン・スパマネージャーを歴任し、技術とホスピタリティなどの経験を積む。その後、美容商社や化粧品メーカーにて海外ブランドのナショナルトレーナーとして国内のサロンへ講習を担当。パリ、ミラノの美容学校との提携にて海外のフェイシャル、ボディテクニックを習得後、独立し、美容コンサルティングとしての活動を開始。ホテルスパ、化粧品メーカーなどのコンサルティング、美容学校、プロの技術者向けに技術指導、スキンケアアプリ開発監修など幅広く活躍している。 著書に『スキンケアは洗顔が9割』(PHP研究所)などがある。2022年よりオーガニッククレンジングミルクMY GOOD SKINをプロデュースし、展開している。
Instagram @caoruleclat
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